2016年10月03日

ヨセコウに着手する手の価値(追補)

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 黒 の1手 ヨセコウです。

 これと まったく 同じ形状の 一手ヨセコウ が、たくさん あるとします。
 これ以外の石は存在せず、コウ材 もありません。
 また、外側の 黒 は生きているものとします。
 
 双方が最善を尽くして、すべての コウ を解消します。
 この ヨセコウが いくつあれば、黒 が 1つの コウを 取ることが できるでしょうか ?

==> という ことが、テーマ になっていました。

    これについては、さまざまな 議論 が ありました。
    でも 最終的には、5 個 が 正しい という 結論 になりました。
   
    1手 ヨセコウ なら 5 個、2手 ヨセコウ なら 9個、以下 17個、33個 ・・・
    という 具合 です。

本件について、先日
 九州工大・知能情報工学 中村 貞吾 准教授
から「ご教授」を賜りました。
しょせんは素人のたわむれだったのですが、
ここまでお手数をかけて頂いたということで感激しております。
こういう案件については、やはり専門の方に教えてもらわねばなりません。
いろんな方に迷惑をかけましたが、
不謹慎ながら一石を投じたかいがあったと喜んでおります。

それはさておき、「ご教授」の内容をこれからお伝えします。
先生から頂いた文章は、下記の通りです。
ただし、原文のままではありません。
自分の理解した範囲で自分にわかるように書き変えました。
自分を納得させるためにあえてそのようにした、ということでご容赦ください。
まちがった表現があるとすれば、それは私の責任です。

1. 黒 から の「 n手ヨセコウ 」があるとき、
    黒 が コウ を 取っていれば その 局面 を Bn 、
    白 が コウ を 取っていれば その 局面 を Wn 、
   と 表記 する。

   問題図は、「 1手ヨセコウ 」において 白 が コウ を取っている 局面 なので W1 である。
   W1 に対して 黒 が コウ を取れば、B1 となる。
   B1 に対して 黒 が ダメ を詰めて 本コウ にすれば、B0 となる。
   B0 に対して 白 が コウ を取り返せば、W0 となる。

2. ここで、「 B0 と W0 」が 「見合い」になっていることに 注目 する。

   「見合い」というのは、互いに「反転」の関係になっているという意味である。
  そのため 最終的には、双方が同じ手数を打ち合って 引き分け(一勝一敗)になる。
  したがって「見合い」があれば、黒 は確実にどちらか一方の コウ を 解消 することができる。
  「 B1 と W1 」や「 B2 と W2 」も、同様にして「見合い」である。

3. 黒 から の「 1手ヨセコウ 」が 何個か あるとき、そのうちの1個を 確実に 解消したい。
   ヨセコウ が 何個 あれば、そのようにできるのだろうか ?

   黒 は、当然の策として「 B0 と W0 」の実現をめざすことになる。
   そのためには、「 B1×2個で黒先 」であればよいことは容易に確認できる。
   また手番に関係なくそれを実現するということであれば、「 B1×2個+W1 」であればよい。
   「 B1×2個 」は「 W1×4個 」と同等なので、これは「 W1×5個 」と同等である。
   したがって、「 1手ヨセコウ 」は 5個 あればよいという結論になる。

4. 「 2手ヨセコウ 」の場合は、どうであろうか ?

   上と同様に、「B0 と W0 」すなわち「 B1×2個で黒先 」の実現をめざすことになる。
   ここで、「 B1×2個 」が「 B2×4個 」と同等であることに注目する。
   白 がコウを取り返した時、黒 が B1 を B0 にする手が コウダテ になるからである。
   したがって、「 B1×2個で黒先 」は「 B2x4個で黒先 」と同等となる。
   手番に関係なくそれを実現するということであれば、「 B2×4個+W2 」であればよい。
   「 B2×4個 」は「 W2×8個 」と同等なので、これは「 W2×9個 」と同等である。
   したがって、「 2手ヨセコウ 」は 9個 あればよいという結論になる。

5. これを続けていくと、黒 が1個を解消するのに必要な ヨセコウ の個数は 次のようになる。

   1手ヨセコウ    5 個
   2手ヨセコウ    9 個
   3手ヨセコウ   17 個
   4手ヨセコウ   33 個
     ・ ・ ・
   n手ヨセコウ 「 2の(n+1)乗 +1 」 個

以上が、「ご教授」の内容です。

これをふまえると 基準値、着手する手の価値(黒)、着手する手の価値(白) は

 (本コウ)  :   ( -1/3 )                     ( -9 + 26/3 )
1手ヨセコウ :   -19/5     2/15    1/5
2手ヨセコウ :   -55/9     4/45    1/9
3手ヨセコウ :  -127/17    8/153   1/17
4手ヨセコウ :  -271/33   16/561   1/33

になるかと 思います。

基準値 というのは、ある 形状 が 潜在的 に 持っている 目数 のことです。
1手ヨセコウ の場合、この形状が 5個あれば そのうちの 1個 を 黒 が 解消 して 17目、
残りの 4個 を 白 が 解消 して -36目。
合計してから、1個 あたり に 換算 すると -19/5 目 になります。

( 別掲の出題図を参照してください)

着手 する 手 の 大きさ は、上位の 形状 の 基準値 との 差 であるとしています。
1手ヨセコウ の 上位の 形状 は 本コウ で、
2手ヨセコウ の 上位の 形状 は 1手ヨセコウです。
上に書いた 数字 は、基準値 の 差 を さらに出入りの目数(26目)で割ったものです。

一般に、n 手ヨセコウ に 着手 する 手の 価値 の 総和 は
1/3 という 値 に 収束するはずであると 考えています。
上の 例 では

 2/15 + 4/45 + 8/153 + 16/561 + ・・・

となるのですが、この 値 は 確かに 1/3 に 収束 しています。
( 1/3 - 1/5 ) + ( 1/5 - 1/9 ) + ( 1/9 - 1/17 ) + ( 1/17 - 1/33 ) + ・・・
なのですから、当然のことです。

ここまで、思いつくままに 勝手なことを書いてきました。
何かの参考に、なりますでしょうか ?
この テーマ に関しては、さまざまな 主張 が あります。
議論 が 深まって、決定版 が 出現 することを 期待 しています。

なお今回は、「 ヨセコウ 以外には何もない 」 という 条件設定 をしていました。
これ以外の条件下では 次のようになる、という コメント を もらっています。

  「 Berlekamp が提案した komaster モデル :
     黒がコウダテを沢山持っていてコウには勝てる.
     白側はコウ材では勝てないのでヨセを打つしかない.
     ただし,黒は,白がヨセを打ったら,コウを続けて打たなければならない.
     ヨセを打ちながらコウも頑張る程のコウダテはない.
   というモデルの元では,一手ヨセコウの価値は 1/4 となります.

   また,御存知のように NTE (Neutral Threat Environment) モデルの元では
   1/5 となります.」
                                             ( 記事の終わり )                 


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